※お酒の香水にも目が無いジョージ(@Ichix0w0x)さんによる寄稿記事です。記事内の香水は当店での扱いはございません。読みものとしてお楽しみ下さい。
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煙草の香水についての記事を書いた。と言うよりも、煙草の香水にはこういうのとかこういうのがあってめちゃくちゃ最高、煙草の香り大好き! という何とも自分本位な文章を書いたのだが、中々狂気に満ちていて面白いと評価を頂いたので続いて酒の香水についての記事を書くことになった。だが、私は酒の香りを煙草の香りほど知らない。それでも酒の香りは好きだ。飲むのも好きだ。酒の香りがする香水を纏いながら飲む酒は倍美味いと思っている。
なので今回も拙いなりに綴ってみようと思っている。つまりこれは『この香水がめちゃくちゃ良かった!』という押し付けにも似た文章であることを先にお伝えしておきたい。
先程も記述したが、酒の香水は好きだ。煙草と酒の組み合わせなら、尚いい。バーやラウンジをイメージし酒と煙草の香りを組み合わせた香水は思いつくだけでも五本はある。酒と言っても様々だが、多いのはウイスキーとラム、ジンだろう。ちゃんと調べたことは無いが探して出て来るのはこの三つが特に多いように思う。ついでコニャック、ワインや日本酒。アブサンみたいな変わり種は偶に見るくらいだ。
酒の香水と言えばキリアンは語るに外せない。何せリカーシリーズなんて代物が出ているのだから。その上ラインナップがコニャック、ジン、アブサン、ブルームーンだなんて魅力的過ぎるしボトルのデザインなんかロックグラスみたいで並べたくなる。筆頭であるコニャックの香水、エンジェルズシェアは樽とコニャックに甘い香りが相俟って気分良くほろ酔いになりそうな香りだった。きっと好まれる方も多いに違いない。
しかしここでは他のブランドに注目し紹介させて頂きたい。だってキリアンは有名だし今更自分が語る事もないと思うので。自分が推したいものはたくさんあるのだが、まずは暑い時期に向けてモヒートの匂いがする香水について語らせて頂きたい。何より私はモヒートが大好きだ。
フラパン/スピークイージー
フラパンはコニャックを作り続けてきた名門だ。フラパンの酒瓶を見掛けることは多いだろう。そんなとこが、香水を出している。そんなの期待しかない。今国内では金沢のあるお店で取り扱っているらしいが、通販しか手段が無い私が出会ったのはスピークイージーという香水だった。翻訳すると闇酒場である。モヒートとタバコの香水だと知ってるまんまと釣られた。そんなの買わない訳が無い。
付けたてはラムとタバナの朗らかな甘さから始まって飲みやすいモヒート、タバコの煙が合わさりクラシックなバーでほろ酔いになっているような。そんな香りがする。この上品な甘さを持つ酒の香りはお酒好きにもこの香りは楽しんで貰えるんじゃないかと思う。
チェックアンドスピーク/キューバ
キューバと名前がついたら葉巻。何よりそれをイメージする。その名の通り、この香水は葉巻タバコの匂いがする。片手にライムをたっぷり搾ってキンと冷やしたモヒート、合間に葉巻をふかしてるような。これがまた、リアルなモヒートの香りだ。力強くハッキリと輪郭があるモヒートの香り。真夏に付けたくなるような、グッとこんなモヒートを飲んで喉を潤したくなるような匂いがする。この香りと出会ったのは偶然ではあったが、私をよく知る人が「絶対好きだよ」と教えてくれて購入に至った。届いた時にはまんまとハマっていた。赤いボトルに星のマークというデザインも心を擽る。何せ私は原色に弱いので。とにかくリアルなモヒートを、と言われたらこの香りを勧めている。
サークルデパフューマー/ローアラブーシュ
これもモヒートだ。モヒートはモヒートでも前述した二つのモヒートと比べて柑橘の鋭さは無く、タバコも入っていない。喉越しの良いモヒートといった感じ。ラムが強め。鉛筆で混ぜたような、と説明にあるように少しだけ木の荒い匂いがするように思う。スピークイージーがバーでモヒートを飲むような、キューバがカンカン照りの下でモヒートを楽しむような香りだとしたらこちらは自宅のテラスでリラックスしながら嗜んでいるイメージがある。なんとも付けやすいので私は真夏、この香りで乗りきっている。しかし国内から撤退してしまったので今後無くなってしまったら輸入するか検討してるところだ。
モヒートだけでも三つ並べてしまったが、次はウイスキーの香りに注目してみたい。
アクロ/モルト
アクロという名前はネットの海でも良く見かけていた。何せ売り出してる香水たちは『中毒になる香り』がテーマでチョコレートやタバコ、大麻がある。その中でウィスキーの香りとして『モルト』を紹介したい。ド直球な名前なだけに期待値が高いそれを試したのは本当に最近のことである。肌にのせた瞬間、広がるのは瓶を開けた時のあの香り。よくよく嗅ぐと海藻がいるのがわかる。これが樽感あるあの香りに繋がっているように思う。甘さが仄かに感じるのはラムだろう。ウィスキーなのにラム。兎に角リアルなウィスキーを表現しようという気概を感じる。
FOG/バレルウィスキー
こちらはオーダーメイド香水として知り合ったブランド。精油を扱っているために肌に直接付けるのではなくリネンなどに付けることを勧めている。それでもここの香水が大好きなのはなんと言ってもその世界観だ。土と苔、湿気。自然の影を感じる世界観は私を虜にした。オーダーメイドを頼んだあともFOGが紡ぐ世界観を楽しもうとオリジナルの香水を楽しんでいるのだが、限定の香りとして『ウィスキーの香りを作る』と聞いた時には物凄く喜んだ。同時に紅茶の香りも出たのだがやっぱり喜んだ。喜ぶあまりすぐに購入してた。ここのウィスキーの香りなら間違いないと思ったからだ。結論、間違いなかった。こちらは栓を抜いてグラスの中の氷にウィスキーを注いだ瞬間。ウィスキーと水が溶け合ったような香りから始まる。そこからウィスキーを継ぎ足していくような、次第に濃くなるウィスキーの香りを楽しめる。アクロのモルトもリアルなウィスキーではあるが、こちらの方が甘さが少なく喉を通り抜けるカッと熱くなる瞬間を思い描くようだ。こんな香りが個人で作れるのかと感動したことはここでもう一度伝えておきたい。
※こちらは期間限定販売商品のため記事公開時点での販売はありません
アトリエテゾー/ボアシカー
こちらは香水というより情景そのものを切り取ったような香りだと思っている。ウイスキーの匂いが染み付いた樽、その横で煙草を吸って煙をふかしてるような。試した時にこれは身体に纏っていいのか? と思ったくらいにはリアルな樽と煙。飲んで美味しいお酒、というわけではないけれど、このウイスキー樽の香りは試して驚いて頂きたい。
ジバンシィ/ジェントルマン リザーブプリヴェ
ジバンシィと言えばコスメを思い浮かべることが多い中、ジバンシィのメンズラインにウィスキーの香りがあると知ったのは確か店頭でメンズ香水を試していた時だった。既存のジェントルマンは知っていたが私の好みとはまた違うなと思いつつ試していた時、ウィスキーの香りがあると知って驚いたのを覚えている。
トップは確かにウィスキー。花が合わさり酒浸りな匂いと言うよりは華やかな印象を与える。ジェントルマンはジェントルマンでも若さがあり社交性豊かな様子が浮かぶようだ。ウィスキー好きには少し物足りないかもしれない。しかしこの香りを購入するに至ったのは、その華やかさが要因だ。気取り過ぎず、リラックスした雰囲気を持つ紳士の香り。そう考えたら買わずに居られなかった。何より地方のジバンシィのカウンターでこの香りが買えることに感動したのである。一度手に取って嗅いで見て欲しい香りだと思っている。
ウィスキーだけでも三本は並べられる。他にも海とウィスキーとタバコの香りだとか、バーでドライフルーツをつまみながらバーボン飲んでるような香りだとかご紹介したいところだが今回は酒の香りを強く感じるものを選ばせて貰っている。その中で次は変わり種を紹介しておきたい。
シニスラボ/アブサンス
タバコの香水を紹介する際にもこのブランドの名前を挙げた。ドニーの作るこの香水はアブサンをイメージして作られている。キャップの造形と何より液体の鮮やかな緑色を見れば興味を惹かれる人は多いはずだ。私も例外では無かった。めちゃくちゃそそった。何よりアブサンだ。アブサンと言えばキリアンやラルチザンを思い浮かべるが、シニスラボのアブサンは凄かった。何が凄いってリキュールをそのまま嗅いでいるような。グラスにアブサンを注いでそこに角砂糖を一つ落とし込んだ、そんな香りがする。これが夏の熱さによく合うように思う。鮮やかな緑色している所も相俟ってそう感じるのかもしれない。薬草リキュールが好きな人、アブサンが好きな人には是非とも試してほしい香水だと思っている。
何とも偏った好みを並べ立てて綴ってみたが、私が知るだけでも酒の香りがする香水というものはこれだけ存在している。私は前述の通りそんなに酒の香水に特化して詳しい方ではないと思っているので私が知らないだけでもっと多くの酒の香りという物がある筈だ。お酒が好きだと言う人は多い筈。該当する人は酒のツマミに酒の香りのする香水をお供にして楽しんでみるのは如何だろうか。きっと倍以上楽しく酔えることと思う。何より香りなら肝臓は痛まない。いい事だらけであると自分にも言い聞かせ、今夜も私は酒を楽しむことにするのだ。
シニスラボ/アブサンス
※個人のメゾンブランドのため記事公開時は一時休業と再開を繰り返している様です
執筆者:ジョージ(@Ichix0w0x)
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