”肌で聴くクラシック音楽”がブランドコンセプトの「ラ ニュイ(La Nuit)」
嗅覚・聴覚・視覚の共感覚でラグジュアリーな世界観をお楽しみいただけます。
第二弾は、スクリャービン。
ピアニスト、アレクサンドル ニコラエヴィチ スクリャービン(Alexandre Nikolayevich Scriabine)の生誕150年を祝う年に発売される今作。
同梱物について
同梱される内容として
- 『7番白ミサ』オードパルファン 10mL
- 『9番黒ミサ』オードパルファン 10mL
- 『10番昆虫』オードパルファン 10mL
に加え、スクリャービンや同曲に関する考察、コラムなどが書かれたブックレット、同氏の録音を収録したCDが含まれます。香水の概念を大きく超えた内容です。
『7番白ミサ』は明るい柑橘
メインは柑橘類のパッと弾ける明るさ。ウッディ調のノートがベースにありますがリズミカルであり、全体的に軽やかな好調です。
わずかにハーブや、マグノリアやガーデニアなどのホワイトフローラルを思わせる柔らかい雰囲気もあり、明度の高い音像を感じ取れます。
『9番黒ミサ』は重さのある香り
打って変わってこちらは地を低く這うようなウッディノート。意図的にトップノートを排した仕上げをしており、序盤から暗く重いシダーのようなウッディアンバー調が終始続きます。
多くの香水というものは軽やかなトップがあり、ミドルが現れ、最後にベースノートが残る構成でつくる事が多いです。しかしこの『黒ミサ』は肌乗せ直後から足取りの重たいウッディという、違和感を上手に残す作り方をしています。
全体的に少し粘性の高いクリーミーな白檀やのようなニュアンスがあり、それがまた重さのような停滞感を醸します。これは「まどろむ聖物」(第2主題)を表現しているのかも知れません。
『10番昆虫』は甘い柑橘
明るい白ミサ、暗い黒ミサと来て3つ目は甘さのある柑橘系の香調です。
スクリャービンは昆虫という生物を「みな太陽で生まれ、太陽がそれらを育む」と表現したとされていますが、こちらの香りもじっくりと天上から太陽が暖めてくれるような優しさのようなものを感じます。
グレープフルーツ香るトップに、ほのかにドライフルーツまたはフルーツの砂糖漬けのような甘さを底に感じるシトラスウッディ。フレッシュスパイシーであり、ハーバルなトーンも見え隠れしながら全体的に落ち着いた印象の柑橘香を堪能できます。
世界観に入り込めるセット
全体的に香りのバランス感に優れた3部作だと感じました。
『黒ミサ』の違和感の面白さもさることながら、目まぐるしく柑橘や樹脂などの要素が現れる作りが面白い『白ミサ』や『昆虫』はどれも似通うことなく個性を確立。
全体的に樹脂が1つのキーノートになっており、どことなくクラシックで伝統や格式を思わせる荘厳な空気を纏っているのもテーマにマッチしています。
同梱のブックレットは全部で60ページほどもあり、様々な方の解説やコラムを通じてスクリャービンに対する手触りに満ちた理解を助けるものとなるかと思います。同じく同梱のCDと合わせて、鼻、目、耳を駆使してスクリャービンとその楽曲の世界観に没入できるセットです。
また香りの方は個性的な作りをしていますが一方で十分日常使いできる作りに。個人的にはどれも人と会う際に、就寝時の寝香水になど、様々なTPOで使用できるものとして仕上げられています。そんな意味でもバランスの良い作品だなと感じられました。
香水の祭典、サロパでも好評
なお同作は新宿伊勢丹本館を皮切りに全国で開催された香水の祭典「サロン ド パルファン 2022」にて初お披露目されました。
我々センテンティアチームも内覧会を始め会期中はほぼ全日程で足を運びましたが、常にラニュイのブースに多くの人が訪れ、思い思いにこちらの新作を楽しむ様を見かけました(お陰でラニュイの方とお話しする時間がほとんど取れなかったほど)。多くの方からの支持を得ていた作品であったことがよく分かる良い機会でした。
ブランド名
成分名
エタノール、水、t-プチルメトキシジベンゾイルメタン、トコフェロール、香料